ころりん ころらど

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~ラテンアメリカやスペイン語圏の絵本を中心にご紹介します~

いっぽんのせんとマヌエル ピクニックのひ

2021年9月14日

  • タイトル
    いっぽんのせんとマヌエル ピクニックのひ
  • マリア・ホセ・フェラーダ(María José Ferrada)
  • パト・メナ(Pato Mena)
  • 発行年
    2020年
  • 出版社
    偕成社

『いっぽんのせんとマヌエル ピクニックのひ』を、偕成社さんから刊行しました。

あらすじ

前作『いっぽんのせんとマヌエル』はチリの絵本。自閉症の男の子、マヌエルと作者が出会ったことで、生まれた絵本です。線が大好きなマヌエルが、線をたどって学校へいって家に帰るまでを、シンプルな言葉と絵で描きました。文字を読みにくい人たちのために、理解を助けるピクトグラムがついています。続篇となるこの絵本は、日本のオリジナルでの刊行です。外の世界に興味を持ち始めたマヌエルが、家族でピクニックに行って、いろいろな生きものに出会います。1巻目の刊行時に、プロモーションのために来日した作者と画家が、日本の保育園でワークショップをしました。そのときに日本の子どもたちから受けた刺激もあり、生まれた絵本です。ピクトグラム付き。(偕成社 内容紹介より)

本づくりを終えて

今回の続編は、日本で独自に制作しています。お話づくりの段階からマヌエルくんのご家族やセラピストの方にもご協力をいただき、マヌエルくん家族がピクニックへでかける1日を、せんといっしょにピクトグラムをつけて紹介しています。動物や虫や自然とふれあうマヌエルくんの成長はもちろんですが、日本の子どもたちのアイデアもたくさん取り入れています。また、ピクトグラムもバージョンアップ!新しい試みとなっています。3か国を行き来しながら知恵を出しあい、それぞれの役割の中で愛情たっぷり注ぎ込んでつくりました。2021年のオリンピックでも、ピクトグラムが注目されました。もしもこの本がピクトグラムを知るきっかけになるとしたら、これほどうれしいことはありません。だれもがみんなでたのしめるピクトグラムの絵本をめざしています。どうぞよろしくお願いいたします。

作者について

マリア・ホセ・フェラーダ

1977年生まれ。チリのジャーナリスト、作家。スペインのバルセロナ大学アジア太平洋研究科修士課程を修了。子ども向けの本を多く手がけ、さまざまな国で出版されている。チリ言語アカデミー賞、スペインのオリウエラ市詩賞、イタリアのオレステ・ペラガッティ賞、メキシコのイスパノアメリカ子どものための詩賞など受賞歴多数。金子みすゞ日西バイリンガル詩選集『El alma de las floresー花のたましい』を、星野由美との共編訳でスペインで刊行。

パト・メナ

1980年生まれ。チリの絵本作家、イラストレーター、漫画家。作品はさまざまな国で出版されている。米国のインターナショナルラテンアワード最優秀絵本賞、スペインの児童文学フェスティバル最優秀賞絵本ウォータータワー賞などを受賞。児童書の国際ブックフェアでは、チリ公式代表団にも選出される。現在はスペインのバルセロナで暮らし、スペインを拠点に活動している。

おはなしのいちぶ

いっぽんのせんは

まちと いなかを つなぐみち。

せんを たどって くるまで いく。

・・・

ついた!

いなかには、どうぶつが いっぱい。

・・・

うさぎが きた。

みみを なでる。

ふわふわ。

・・・

かぜが かおを さわった。

フルルルルル フルルルル。

かぜの おとが きこえる。

・・・

くるまで かえる。

またね、どうぶつたち。

またね、はっぱ。

またね、かぜさん。

・・・・・・

『いっぽんのせんとマヌエル』絵本ソング

2020年4月

4月2日、世界自閉症啓蒙デーによせて、

‪絵本『いっぽんのせんとマヌエル』の主人公マヌエルくんのお父さんが、自閉症者の理解と普及啓発活動のために、『いっぽんのせんとマヌエル』絵本ソングをつくってくれました。‬

「マヌエルが川を渡る歌詞の部分は、 実はメタファーでもあります。「川」は自閉症であるマヌエルと、 マヌエルソングを聞くリスナーとの間を隔てるものでありながら、 その川は人生をも意味しています。マヌエルが川を渡るのは、 新しい学校生活をおくるうえで、 ひとつの自発的なアクションです。それは、 リスナーという他者へつながろうとしていることでもあります。  そしてマヌエルとリスナーの各々の名前の線は、 いっぽんの川へつながり、その川(人生) の流れは中心へと導いてくれます。つまり、 マヌエルとリスナーが出会う中心点へとつながっていくのです。 ―マヌエルの父セソ・ドゥラン―」

書評

特別支援学級の現場から〜道しるべにピクトグラムを!

特別支援教育に携わる多勢千夏が寄稿してくださいました。

Kaiseiweb書評コーナーは、こちら

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