カメとクロジャガー ペルーの昔話
2021年9月14日
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タイトルカメとクロジャガー ペルーの昔話
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原案ルイス・ウルテアガ LUIS URTEAGA
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文星野由美
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絵あべ弘士
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発行年2021年
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出版社福音館書店
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その他月刊絵本「こどものとも」年中向き、2021年2月号
ペルーのアマゾンの昔ばなし『カメとクロジャガー』が、福音館書店さん2月号に掲載となりました。
「カメとクロジャガー」は、ペルーのアマゾンにくらすシピボ=コニボ族に伝わるお話です。作者のウルテアガさんは、10年にわたる彼らとの共同生活で、アマゾンの魅力的な寓話をたくさん収集されました。絵は、アマゾンの上流を旅した経験をお持ちの、あべ弘士先生が描いてくださっています。クロジャガーのほれぼれする”どや顔”がたまりません。
あらすじ
湖のほとりで、カメとクロジャガーが出会いました。なりゆきでクロジャガーと力比べをすることになってしまったカメ。木のつるでお互いを引っ張り合う綱引きです。勝ち目のない勝負に思えましたが、カメは湖を見て、ある策を思いつきます。弱い者が知恵を使って強い者を打ち負かす、痛快な昔話。アマゾンならではの生き物たちの姿も見応えたっぷりです。
シピボ=コニボ族の世界観
ペルー文化省の先住民調査によると、シピポ=コニボ族の世界観には4つの世界があるそうです。1つめは水の世界、2つめは人類や動植物の世界、3つめは悪魔や悪霊の世界、4つめは父なる太陽と精霊の世界です。この4つの世界を行き来できるのがチャマン(シャーマン)です。チャマンは儀式の中でアヤワスカという植物を摂取して、様々な生き物と交信したり、動物の霊を憑依させ、人間を超越した力を身につけます。憑依するのはジャガー、ヘビ、ピューマ等の限られた動物だけで、中でもジャガーは別格の存在とされ、最高の位に達したチャマンにだけ乗りうつると言われています。
おはなしのいちぶ
むかしむかし アマゾンの ジャングルに、
つよくて おそろしい クロジャガーが すんでいました。
クロジャガーが あらわれると、
どうぶつたちは みんな ブルブル ふるえあがりました。
ところが そんな クロジャガーにも、にがてなことが ありました。
みずのなかに ぜったいに はいろうと しません。
クロジャガーは およげなかったのです。