ころりん ころらど

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~ラテンアメリカやスペイン語圏の絵本を中心にご紹介します~

もろもろの木

2021年9月13日

  • 原題
    EL ARBOL DE LAS COSAS
  • マリア・ホセ・フェラーダ(María José Ferrada)
  • ミゲル・パン(Miguel Pang LY)
  • 発行年
    2015年
  • 出版社
    Buen Paso社

あらすじ

マリアは庭で もろもろの木を みつけます。もろもろの木は、ふしぎなことだらけ。なぜって、もろもろの木からさくのは 花ではなく、さかな、ほし、くもだったりするものだから。

 

春のおわり、りんごの花はりんごの実、レモンの花はレモンの実がなるころ、もろもろの木から いったい どんな実がなるのでしょうか? マリアは 気になってしかたがありませ。けれど、もろもろの木からは なにも実りませんでした。ぽつり ぽつりと、さかなが、ほしが、くもが きえていくだけ。

 

なぜだろう?マリアはかんがえます。ずっとずっとかんがえました。けれど、とうとう こたえは 見つかりませんでした。たったひとつ 分かったのは、分からないことがある ということ。それは、まかふしぎ とよばれるもの。

 

もろもろの木は いっぽんの木、そして まかふしぎな木。

所感

この絵本は2009年にマリア・ホセさんが来日した時に生まれた作品だそうです。マリアさんは俳句と日本文学を愛され、スペインの大学ではアジア研究を専門にされていた方です。

俳句は短いフレーズの中に人生の儚い一瞬が凝縮されているところが魅力だと思うのですが、マリア・ホセさんの詩や絵本にも、日常を観察し、別の角度から眺め、一瞬垣間みる変化や輝きを切り取る いわば俳句に通じる作品が多くあるように思います。

作者について

文:マリア・ホセ・フェラーダ

1977年、チリのテムコ生まれ。ジャーナリスト。スペインのバルセロナ大学アジア研究修士課程修了。チリ、アルゼンチン、スペインで数多くの作品を手掛け、作家であり詩人としても活躍し受賞歴多数。

 

主な作品

2005年 『大地、空、海のちょっとしたおはなし12話:12 historias minúsculas de la tierra, el cielo y el mar)』
2010年 『おかしなせかい:Un mundo raro』(Kalandraka社)
2010年 『ちっちゃなおどりUn baile diminuto』(Kalandraka社)
2011年 『いろんなもののことば:El lenguaje de las cosas』(El Jinete Azul Editorial社)
2013年 『こどもたち:Niños』(Grafito Ediciones社)
2013年 『ひみつのことば:Idioma secreto』(Kalandraka社)
2015年 『しろいようふくをきて:Tienes un vestido blanco』(Buen Paso社)
2015年 『マヌエルのいちにち:El dia de Manuel』(Santillana社)
2015年 『ファンは だあれ?:¿Quién es Juan?(Planeta chilena 社)
2015年 『もろもろの木:El árbol de las cosas(Buen Paso 社)

 

絵:ミゲル・パン・Ly(Miguel Pan Ly)

カンボジア人の母と中国系スペイン人の父との間に生まれる。幼少期から絵に親しみ、地中海の色を静かに眺めながら育つ。大学で美術を専攻し、卒業後にバルセロナのマッサナ芸術学院でイラストレーションを学ぶ。彼の作品はスペインおよび隣国で開催される様々な国際コンクールで出展されている。

おはなしのいちぶ

マリアの にわには、たくさんの木があります。

 

りんごの木、レモンの木、すももの木、

そして、もろもろの木。

 

もろもろの木からさく花は、さかな、ほし、くも。

春のおわり、りんごの木の花は リンゴの実が、

レモンの花は、レモンの実が、

すももの花は、すももの実がなります。

それでは、もろもろの木の花からは、どんな実がなるのでしょうか?

 

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もろもろの木は いっぽんの木、そして まかふしぎな木。

 

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