ファンはダウン症です。体の細胞の21番染色体の数が、 たいていの人は2本ですが、3本持つことによりおこります。そのため、おなじ年の子どもたちより、ゆっくり成長します。学んでいくのも、すこしゆっくりです。けれど、あなたやわたしと 同じように、おどったり、絵をかいたり、友だちといっしょにあそんだり、いろんなことを 楽しんでいます。
ジャーナリスト、作家。アジア太平洋学専攻修士。彼女の著作はチリだけでなく海外の出版社からも多く出版されている。オリウエラ市子どものための詩賞、チリ文学アカデミーによるアカデミー賞等、数多くの受賞歴を持つ。マリア・ホセには、この本の主人公のようにダウン症の叔父がいて、名前をファンという。彼に会いに訪れるたびに(南の町に住んでいる)、お茶を飲んだり、おやつのパンを食べたりして一緒に過ごしている。それはいつも午後の5時と決まっていて、それより前でも後でもない。
1990年生まれ。2006年から、二エベス・マコーリフが企画している絵のワークショップ “コンプリメンタ” に参加している。これまで、MAC、Faxxi、CCUサロン、Ralli美術館等のアートギャラリーで、絵画や版画を出展している。最近では、アクリルやシルクスクリーンを使った作品も手掛けている。午前中は家具店で働き、午後は絵を描いたり、音楽 ―キャット・スティーヴンスがお気に入り― を聞いたり、ピアノを弾いたり、踊ったり、家族といっしょに過ごしたりしている。この本の主人公のように、クリスもダウン症である。姉のキャサリンによると「彼は独自の視点で世界を見ている」のだと言う。
とりたちは、ファンが
うたっているのをきいて、おもいました。
ぼくたちの ことばが わかるのかな?
しばらくすると、とりのうたと、ファンのうたが ひとつになりました。
それは、ささやかな うたの がっしょう。
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アナは ファンをしったとき、かんじました。
わたしの しんぞうの おと、まるで おどっているみたい。
そして、おもいました。ファンの しんぞうも
おどっているのかな?
いつのまにか、きこうとしていたことは わすれてしまいました。
けれど、ふたりは なんども おなじうたで おどりました。
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お父さんとお母さんは、ファンをみても
なにも ききません。みているだけで いいのです。
お母さんは いいます。もう、いちにんまえね。
すると、お父さんは こたえます。そうだね。