どうして こわいの?
2022年11月5日
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タイトルどうして こわいの?
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原題¿Por que tenemos miedo?
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文フラン・ピルタデーラ FRAN PIRTADERA
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絵アナ・センデル ANA SENDER
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発行年2023年
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出版社偕成社
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その他原書:AKIARA Books、スペインの出版社、2022年
スペインで出会った絵本
『どうしてなくの?』につづき 『どうしてこわいの?』が2023年の1月末に偕成社さんから刊行します。
どうぞよろしくお願いいたします。
ーー いま おこっていることが
わからなくなって こわくなる、
そんなときもある。
おおきな ドアのむこうには
みらいが まっているはずなのに。
ドアノブを まわす てに
ちからが はいらないんだ ーー
どうしてこわいの? の あらすじ
かみなりのあと、停電で家の中が まっくらになりました。
おとうさんが ろうそくに 火をともしたとき、
マックスは ききました。
「おとうさん、こわいとおもったこと ある??」
「だれでも こわいって おもうことは あるよ」と、
おとうさんは、いくつもの「こわい」について話してくれました。
知らないことをこわいって感じたり、激しい言葉がつきささっておびえることもある、
どうしようもなくこわくなったり、自由になるのがこわいこともある、
かたいからを身につけて、こわくないふりをしている人もいる……
でも、おとうさんは、最後にマックスに希望を伝えてくれます。
「こわい」についての分析、解説もあります。「こわい」について改めて考えてみることで、
「こわい」を受け入れることができるようになるかもしれません。
同じ著者たちによる『どうして なくの?』があります。(偕成社 内容紹介より)
作者について
フラン・ピンタデーラ
児童文学作家、ストーリーテラー、ソーシャルシアターのプロモーター。教育心理学および社会教育学を学ぶ。作品はアメリカ、カナダ、ドイツ、中国、日本等で翻訳出版されている。作品に『どうしてなくの?』『あの子はぼくらのスーパースター』 がある。ルナ・デ・アイレ児童詩賞、コンポステーラ国際絵本賞、バンコ・デ・リブロ優良図書選定等、受賞歴多数。スペイン在住。
アナ・センデル
1978年、スペインのテラッサに生まれる。バルセロナの美術学校で絵画とイラストレーションを学ぶ。作品に、 絵本「コティングリー妖精」、挿絵に「恐れを知らぬ少女たちのお話―世界からわすれさられた物語」 などがある(いずれも未邦訳)。
感想
子どもはだれでもきっと、どんよりとした黒いたまごの≪こわい≫を抱えています。大人になったらこわくなくなるのではなく、≪こわい≫を知り、向きあい、お互いを知る必要があることを、やさしい言葉で綴っていきます。前作同様に、物語の内容や展開も見事ですが、プロフィールや巻末の言葉にも作者フランさんの共感する名言がたくさん散りばめられていて読み応えがありました。子どもに本質を伝えようとする真摯で誠実な姿勢と本気度が伝わってくる作品です。
また、≪こわい≫を黒いたまごにたとえた画家アナ・センデルさんの発想とイマジネーションあふれる絵に、今回も驚かされました。「本当の≪こわい≫はベッドの下にいるわけじゃない」という短いテキストを、黒いたまごが爆弾になって投下する場面で描かれていて、想像力のレンジの広さにおどろかされます。
≪こわい≫という難しいテーマを、恐怖心をあおるようなことは決してせず、フタをしてしまうのでもなく、外側から理解しようとするのでもない。人間の本質と内面を真摯に見つめた作品です。