ころりん ころらど

ころりん ころらど
~ラテンアメリカやスペイン語圏の絵本を中心にご紹介します~

くさりにつながれたゾウ

2021年9月13日

  • 原題
    EL ELEFANTE ENCADENADO
  • ホルヘ・ブカイ (JORGE BUCAY)
  • グスティ(GUSTI)
  • 出版社
    SERRES社(スペインの出版社)
    メキシコでも出版されている
  • その他
    2010年、IBBYスペインのイラスト部門での優良図に選定

本書について

あきらめない気持ちを持つ大切さを問うおはなし。

概要

「どうしてゾウのようにおおきな動物が、サーカスがおわると、ちっぽけなくいに つながれたままでいるの?」

男の子の疑問に、答えられる人は誰もいません。ところがある日、賢者が答えを見つけてくれます。サーカスのゾウがにげないのは、小さな頃からずっとくさりにつながれていたからだ、と。

男の子は気づきます。サーカスでみた おおきなちからづよいゾウが、どうして、くさりにつながれたままでいるのか。それは、杭につながれたまま、もう けっして自由になれないって、自分で決めつけてしまったからなのだと。どうせできっこない、そんな失敗した記憶をひきずって、自分の力を決して試そうとしなかったんだと。

男の子は、夢の中で、そっとゾウに近づいて、耳元でささやきます。「ねえ、しってる?きみはぼくにそっくりだよ。じぶんはできないことがたくさんあるっておもってるでしょ。でもね、ずっとまえ、たった1かいできなかっただけ。あれからずいぶんじかんは たったんだよ。もう、きみはおおきくなって、むかしよりずっとちからもちなんだ。ほんとうに自由になりたかったら、できるんだ。ほんとうさ。なぜ、やってみようとしないんだい?」

アルゼンチン出身のベストセラー作家とスペイン在住のアルゼンチンイラストレーターのコンビの作品。

作者について

文:ホルヘ・ブカイ(JORGE BUCAY)
1949年アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。医師精神病理学)、ゲシュタルト・セラピスト、心理療法劇作家。ゲシュタルト療法を基にした独自のセラピーを展開し、講演やセミナーを開催するなど国内外で幅広く活動。その著作はスペイン語圏で大ベストセラーとなり、各国語に翻訳されている

 

邦訳作品

2005年 『寓話セラピー―目からウロコの51話 』めるくまーる
2009年 『御者(エル・コチェーロ) ― 人生の知恵をめぐるライブ対話』新曜社 共著

 

絵:グスティ(GUSTI)

1963年、アルゼンチンのブエノスアイレス生まれ。スペイン及びラテンアメリカ諸国の第一線で活躍するイラストレーター兼絵本作家。彼の作品は20カ国以上の国で出版され、BIB金のりんご賞、スペイン国民イラスト賞、ミュンヘン国際児童図書館の優良図書推薦リストやIBBY障害児図書資料センター推薦図書リストに選出されるなど国際評価も高い。また、南米アマゾンの先住民と生活を共にしたり、オウギワシの生態調査や、絶滅危惧種であるスペインオオヤマネコの保護プロジェクトに関わる等、さまざまな活動にも参加している。バルセロナ在住。

邦訳作品

『なかよくなんかならないよ』文出版局2000年4月
文:リカルド・アルカンターラ、絵:グスティ
こいぬのテントシリーズ(文:リカルド・アルカンターラ、絵:グスティ)

『テントとおともだち』ポプラ社 2002年2月
『テントのちいさなはな』ポプラ社 2002年2月
『テントはあかちゃんじゃないよ』ポプラ社 2002年5月
『テントとまねっこおばけ』ポプラ社 2002年5月
『テントがとってもこわいもの』ポプラ社 2002年6月
『テントのガールフレンド』ポプラ社 2002年6月
『ハエくん』(作、絵:グスティ)フレーベル館 2007年
『はらぺこライオン エルネスト』 ワールドライブラリー 2016年

おはなしのいちぶ

ちいさかったころ、

ぼくは サーカスのまほうの せかいが

だいすきだった。

まちからまちへ、サーカスのいちだんが たびをする。

わくわくしながら、ぼくはどうぶつにちかづいた。

すこしでも、ちかくで みていたかったから。

なかでも、ゾウのショーは

ぼくの いちばんの おきにいりだった。

・・・・・・・

サーカスのゾウがにげないのは、

とっても ちいさなときから、

ずっと くさりに つながれていたからなんだ。

・・・

「ねえ、しってる?きみは ぼくに そっくりだよ。

じぶんは できないことが たくさんあるって おもってるでしょ。

でもね、ずっとまえ、たった1かい できなかっただけ。

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