ころりん ころらど

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~ラテンアメリカやスペイン語圏の絵本を中心にご紹介します~

おやすみなさい、マルティーナ

2021年9月13日

  • 原題
    Buenas Noches, Martina
  • 作者
    ミカエラ・チリフ(Micaela Chirif)
  • ガブリエル・アライサ(Gabriel Alayza)
  • 発行年
    2009年
  • 出版社
    Ediciones PEISA
  • その他
    2010年 ホワイトレイブン選定

あらすじ

ねるじかんになりました。まいばん、マルティーナはねむりにつくとき、ママに いっしょにいてもらいます。くらやみが こわいのです。ところが、ちょっとした くふうで 夜がこわくなくなることを、マルティーナは みつけます。明かりをけすと、さっそく 2ひきのトラがやってきました。でも、だいじょうぶ。トラはネコのように、マルティーナのゆびをぺろぺろ。くすぐったい!つぎにあらわれたのは、カーテンにぶらさがる いたずらずきのサルたち。それから、おしゃべりなオウム、金の歯がじまんのワニ、すべりだいになってくれるキリン、のんびりやのナマケモノまでやってきました。みんなでたのしくすごす夜のパーティ。マルティーナのベッドは、どうぶつたちでいっぱい。しばらくすると、マルティーナのママが やってきました。「マルティーナ、おまたせ。」けれど、マルティーナは、いいました。「もう、ひとりで だいじょうぶ。」

作者について

文:ミカエラ・チリフ(Micaela Chirif)

詩人、絵本作家。ペルーカトリック大学で哲学を学ぶ。2001年に初の詩集『帰路で(De vuelta)』を出版後、2008年『ありふれた空(cualquier cielo)』、2012年にはスペインの出版社から『枕に頭をのせて(Sobre mi almohada una cabeza)』の3詩集を発表している。絵本作品では、2008年にホセ・ワタナベ氏との共著『アントニオさんとアホウドリ(Don Antonio y el albatros)』、その後2009年に『おやすみなさい、マルティーナ(Buenas noches, Martina)』、2010年『ことばのかたちについて(En forma de palabras)』、2011年『かるわざし(El contorsionista)』、2013年『あさごはん(Desayuno)』を出版した。2013年には、『おりこうだね、マストドン(Ma’s te vale mastodonte)<作 ミカエラ・チリフ、絵 イッサ・ワタナベ>』が、メキシコのフォンド・デ・クルトゥーラ・エコノミカ社 (FCE) 主催の第17回絵本コンクールで、「風の岸辺賞(A la orilla del viento)」を受賞した。現在、リマ在住。

絵:ガブリエル・アライサ(Gabriel Alayza)

2006年、ペルーカトリック大学芸術学部絵画専攻優秀卒業生として、アドルフォ・ヴィンターニッツメダルを受賞。2007年、初めての個展を開き、その後も国内外の展覧会に出品。2008年、『おやすみなさい、マルティーナ』で、はじめて絵本の挿絵を担当。その後も同作家とのコンビとして2010年『ことばにかこまれて(En forma de palabras)』、2013年『あさごはん(Desayuno)』を出版した。

感想

「パレイドリア」という現象があります。雲の形や天井のシミが人の顔に見えたりする「錯覚」の現象のことのようです。子どもの頃に寝つきが悪かった私は、天井やカーテンのなんてことはないシミが何かしら得体のしれない生き物になってこちらにやってくるような気がして、こわくてたまらないことがありました。大人になり、今ではそんな豊かな想像力は失いつつありますが、やはりわが子のうちの一人は私のように暗闇が苦手で寝つきがあまりよくありません。でも、ちょっとした転換ができたら夜はもうこわくなくなるのだということを、この絵本で気づかされます。子どもの想像力は限りなく豊かですよね。そのイマジネーションが、たとえ暗闇であってもポジティブな方向へむかうような楽しい眠りであってほしいものですね。

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