EL ALMA DE LAS FLORAS(花のたましい)金子みすゞ日西対訳詩選集
2021年9月6日
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原題El alma de las flores(花のたましい)金子みすゞ日西バイリンガル詩選集
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詩金子みすゞ
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共編訳マリア・ホセ・フェラーダ、星野由美
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発行年2019年
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出版社Satori Ediciones
詩を訳すということ ―金子みすゞ 日西対訳詩選集の出版に寄せて―
2019年9月に、スペインの出版社Satori Edicionesから、金子みすゞ詩選集(スペイン語、日本語、ローマ字表記)を、チリの詩人マリア・ホセ・フェラーダさんとの共編訳で刊行させて頂くことになりました。
金子みすゞさんの素朴な詩は、どれも読み手の心に深く響くものです。みすゞさんのやさしい言葉の奥に注がれる深いまなざし、命あるものと命なきものへ寄り添い慈しむ彼女の感性をスペイン語にしていくという作業は、マリア・ホセさんと一緒に言葉を探す未知の旅でもありました。
それはいつも楽しいばかりでなく、時に両者譲れないやりとりもあり(笑)、長い時間をかけてまいりましたが、原詩のリズムをできるだけ損なわず、シンプルな言葉選びと、みすゞさんのくりかえしのフレーズの魅力にも心がけました。
“Poetry in translation is like taking a shower with a raincoat on.”
「詩の翻訳は、レインコートを着てシャワーを浴びるようなもの」
数年前に観た映画『パターソン』の最後のシーンで、詩人役の永瀬正敏が言うセルフは、今でも心に残っているフレーズです。詩の翻訳は、作品に込められた作者の想いには近づくことができても、言語体系が違う言葉のリズムや音韻の効果までを伝えるのは難しく、限界があるのも事実でしょう。
けれど言葉や文化の違いの中に歩み寄れる共通項を探っていく楽しさもまた、詩の翻訳を通じて学んだことでした。それは個を認め、寄り添う気持ちを忘れない「みんなちがって、みんないい」と謳う金子みすゞさんの世界観にも通じているかと思います。
スペイン語圏のみなさま、そしてスペイン語に感心のある日本の皆さまにも、みすゞさんの詩を楽しんでいただけることを心から願っています。日本でも、セルバンテス書店さんと穂高書店さんで販売中です。どうぞよろしくお願いいたします。
……
スペイン日本大使館 秋の日本文化紹介
スペインの日本大使館で、『El alma de las flores』の金子みすゞさんの詩の朗読動画が配信されました。
金子みすゞさんの詩集はスペイン語で初めての刊行ということもあり、新聞やラジオで取りあげていただけました。
スペインのEFE、その他メディアから発信された記事
2019年10月15日のスペインの新聞『20ミヌートス』紙版P.13 (La noticia en papel, en página13:)
La revista mercurio(雑誌メルクリオ 文学評論)
2020年2月16日のスペインの新聞『Diario de Sevilla』
スペイン国営ラジオ
詩の番組で2回にわたって紹介されています。1回目は、みすゞさんの生涯について
●2回目は、みすゞさんの詩がスペイン語と日本語でランダムに取り入れられています。1時間の番組にいろんな詩と音楽がランダムに混ぜ合わせているというスタイルです。
https://bit.ly/2ntULOS
La aventura del saber (TVE)ースペイン国営テレビー
Buenos Aires Poetry ーアルゼンチンの詩評サイトー
私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地べたを速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
Yo, el pájaro y la campana
Por más que extienda mis brazos,
nunca podré volar por el cielo.
Y el pájaro que vuela, no podrá correr
rápido por la tierra, como yo.
Por más que me balancee
no se producirá un bello sonido.
Y la campana que suena,
no podrá saber tantas canciones como yo.
La campana, el pájaro y yo,
todos diferentes, todos buenos.