ころりん ころらど

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~ラテンアメリカやスペイン語圏の絵本を中心にご紹介します~

あさごはん

2021年9月13日

  • 原題
    Desayuno
  • ミカエラ・チリフ(Micaela Chirif)
  • ガブリエル・アライサ(Gabriel Alayza)
  • 発行年
    2014年
  • 出版社
    ポリフォニア出版社(Polifonía Editora)

あらすじ

海沿いいのちいさな家。はやおきのおばあさんは、いつものように あさごはんのしたくにとりかかります。それは、なにげない日常のはじまり。オレンジをしぼり、すきなくだものをえらび、コーヒーのしたくをし、目玉焼きをやく…。愛情たっぷりのあさごはん。ところが、キッチンにあらわれるのは、ふしぎな海のいきものたち。

きょだいなタコが、オレンジジュースをのみにやってきて、

あたまに くだものをのせた人魚が、水のみばから あらわれて、

いろとりどりのジャムの色は、こせいゆたかな なぞのかいぞくたちをおもわせる。

さて、あさごはんのしたくが できあがり。

そして、いすにすわっているのは、いちりんの花をもつ 潜水服の彼…。

音楽にあわせて、ダンスする ひととき…。

美しい朝の時間、想像力の旅にでる。それは日常のなかの非日常への旅。そして、日常の美しさに気づく旅。

感想

ペルーを代表する絵本作家として、絵本界で先駆的な役割を担っているミカエラ・チリフさんの第4作目の絵本です。海辺の朝、美しい太陽の下で朝ごはんのしたく。まるで別の時間が流れているかのように、ゆったりとしたひととき。潜水服の彼は、おばあさんのかつてのご主人なのでしょうか?それとも、海底でくらす謎の男性?

私がおばあさんになったとき、こんなふうに、おだやかに美しく想像力に富んだ朝をむかえることができるかしら?

淡いペパーミント色の表紙が、ふしぎな世界観をあらわしています。日常の美しさに目を引く作品。

作者について

文:ミカエラ・チリフ(Micaela Chirif)

詩人、絵本作家。ペルーカトリック大学で哲学を学ぶ。2001年に初の詩集『帰路で(De vuelta)』を出版後、2008年『ありふれた空(cualquier cielo)』、2012年にはスペインの出版社から『枕に頭をのせて(Sobre mi almohada una cabeza)』の3詩集を発表している。絵本作品では、2008年にホセ・ワタナベ氏との共著『アントニオさんとアホウドリ(Don Antonio y el albatros)』、その後2009年に『おやすみなさい、マルティーナ(Buenas noches, Martina)』、2010年『ことばのかたちについて(En forma de palabras)』、2011年『かるわざし(El contorsionista)』、2013年『あさごはん(Desayuno)』を出版した。2013年には、『いいこにしなさい!マストドン!(Ma’s te vale mastodonte)<作 ミカエラ・チリフ、絵 イッサ・ワタナベ>』が、メキシコのフォンド・デ・クルトゥーラ・エコノミカ社 (FCE) 主催の第17回絵本コンクールで、「風の岸辺賞(A la orilla del viento)」を受賞した。現在、リマ在住。

絵:ガブリエル・アライサ(Gabriel Alayza)

2006年、ペルーカトリック大学芸術学部絵画専攻優秀卒業生として、アドルフォ・ヴィンターニッツメダルを受賞。2007年、初めての個展を開き、その後も国内外の展覧会に出品。2008年、『おやすみなさい、マルティーナ』で、はじめて絵本の挿絵を担当。その後も同作家とのコンビとして2010年『ことばにかこまれて(En forma de palabras)』、2013年『あさごはん(Desayuno)』を出版した。

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