ころりん ころらど

ころりん ころらど
~ラテンアメリカやスペイン語圏の絵本を中心にご紹介します~

マティアスとそらのいろ

2021年9月3日

  • 原題
    Mati’as y el color del cielo
  • 発行年
    2002年
  • 出版社
    Ediciones Ekare (エカレ社)
    〔ベネズエラの子どもむけ出版社〕
  • その他
    2002年 バンコ・デ・リブロ優良図書(ベネズエラ)
    2008年 ルイス・アンヘル・アランゴ図書館推薦図書 - 子どもと一緒に読む本0~3才- (コロンビア)

あらすじ

もぐらのマティアスは絵がだいすき。さっそく、そらの絵をかこうとしたのに、あっというまにそらのようすがかわってしまい、なかなかうまくいきません。「あさひがのぼるときのそらはどんないろ?」「ひるのそらのいろは?」「くもりぞらのいろは?」「よるのそらのいろは?」うさぎの友だちのペネロぺの助けをかりて、マティアスはそらの色を見つけていきます。そして最後に、マティアスは気づくのです。絵にしたいアイデアがつぎつぎと思いうかぶように、そらにはかぞえきれないほどたくさんのいろがあるのだと…。

作者について

ロシオ・マルチネス(Rocío Martinez) スペイン人
1966年、スペインのマドリッド生まれ。スペイン王立サンフェルナンド高等美術アカデミー(現在マドリードコンプルテンセ大学美術学部)卒業。専門は彫刻。1990年以降、子供向けの本やYA本のイラストを専門的に手がけている。

受賞暦

1999年 スペインで歴史のある児童文学賞 「ラサリーリョ賞(絵本部門)」次席
『Miguel y las palampalatas』

2001年 「ラサリーリョ賞(絵本部門)」次席
『La gallina Catalina』

2006年 経済文化基金 主催の「ラ オリーリャ デル ビエント賞(絵本部門)」受賞
『De como nació la Memoria de El Bosque』

2009年 カナリア島図書評議会賞
『El de-sastre perfecto』

2010年 バンコ・デ・リブロ優良図書(ベネズエラ)
La historia del Rainbow Warrior

邦訳作品

『フレッドのあたらしいおともだち』学研ワールドえほん2002年1月号 学習研究社 香山美子訳
『フレッドとアンのたこあげ』学研ワールドえほん 2006年1月号 学習研究社 香山美子訳

感想

ストーリーは、もぐらのマティアスとうさぎのペネロペの対話形式で展開していきます。文章は短く最小限ですが、生き生きとした描写によって、二人のとても仲の良い様子が伝わってきます。また、困っているマティアスに、ペネロペが手助けをするのですが、それが実にさりげなくて好感が持てるのです。

 

このおはなしは、ストーリーとしての面白さだけでなく、絵を描くという創作過程もテーマになっています。空の色の世界を描いた本ですが、読んだ後、空の色は青だと決めつけてしまっていた自分にはっとしました。空の色が無限に存在するように、子どもの想像力もまた無限。子どもが楽しめる美術の絵本は多く出版されていても、どれも名画に触れること、美術館へ足を運ぶことを目的としたものが多くて、子ども自身が絵を描く喜びやその感性を育てる絵本というのは、なかなか見当たりませんね。

おはなしのいちぶ

マティアスは ごきげんななめ。
えにしたい いろが うまくでないのです。
「どうしたの?」ぺネロぺが ききました。
「そらのいろを えにかきたにのに いつもかわってしまうんだ」
マティアスは ふきげんそうに いいました。

………

「あさひがのぼるときの そらのいろを えにかきたいんだ。」
マティアスは いいました。

「こぶたのファンの からだのいろのような?」ペネロペが ききました。

「そうだ!そのいろだよ!」マティアスは いいました。

その他のシリーズ

マティアス おひさまをかく

マティアスは、新しいえんぴつで、おひさまをかくことにしました。何枚もの絵をかき、 ついにまんぞくのいく絵ができあがります。そこへ、友だちたちがやってきて、なんとマティアスがすててしまった絵を ほめはじめたのです。絵によって思い出す出来事や経験は、みんなそれぞれ。さいごに、マティアスは思います。たとえ同じ作品でも、みる人によってまったくちがう見方をするのだと…。

マティアス りっぱなえかき

マティアスは、とても満足のいく絵をかきあげました。さて、どこへ飾るのがふさわしいか、あれこれ考えます。居間、画廊、美術館…、ますます期待がふくらんでいきます。しかし、突然強い風にあおられ、絵は水溜りの中へ…。マティアスはとても悲しくなってしまいます。絵はダメになってしまったし、思いえがいていた場所に絵を飾ることもできない。ところが、その絵を見た友だちのペネロペは、絵に変化が生まれて、生き生きとして美しい絵になっていると言うのです。そして、自分の家に飾ってもらえないかと、マティアスにお願いします。さいごに、マティアスは思います。「どんな美術館より、友だちの家がいちばんさ」

マティアス えんぴつをなくして

マティアスは、げんきがありません。お気に入りのえんぴつが、みつからなりのです。そのえんぴつだと、えがとてもうまくかけるのに…。友だちがみんなで、さがすのをてつだってくれることになりました。さがしているうちに、みんなはマティアスのえんぴつで、いっしょにあそんだたくさんのことを思い出します。さて、さいごにマティアスのえんぴつは見つかるのでしょうか?

マティアス ペネロペをかく

ある雨の日、マティアスは友だちたちとみんなで図書館へ行きます。美術の本を見ていたペネロペは、マティアスに自分の肖像画をかいてほしいとたのみます。絵かきたちは、みんな肖像画や自画像をかいているし、友だちも勧めてくれます。さっそく、マティアスはペネロペの肖像画をかくことにしたのですが…。さいごに、マティアスはじぶんなりの方法で、ペネロペの絵をかくことにするのです。

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