ころりん ころらど

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~ラテンアメリカやスペイン語圏の絵本を中心にご紹介します~

キウイ-とびっきりかわった ふしぎなとり

2021年9月13日

  • 原題
    Kiwi, Un Pájaro más bien raro
  • スサンナ・イセルン(Susanna Isern)
  • レベッカ・ルシアーニ(Rebeca Luciani)
  • 出版社
    ラ・フラガティーナ社 (La Fragatina)/スペインの出版社

概要

あるひ、ねずみはすこしおどろいたかおをして、キウイにたずねました。「ねえ キウイ、もりのむこうできいたんだけど、きみはとりなんだってさ」。キウイは、ふしぎでなりません。「ぼくがとりだって?はねもつばさまもないのに?それに空をとべないし、毛はとげみたいにちくちく。くちばしだってながいし、ひげもついてるのに…?」ちがうことの大切さを伝える美しい絵本。

あらすじ

あるひ、ねずみはキウイにたずねました。「ねえ キウイ、きみはとりなんだってさ」。キウイは、ふしぎでなりません。「ぼくがとりだって?はねもつばさまもないのに?」つぎのひのあさ、キウイは山のてっぺんから空にむかって飛んでみましたが、やはり空をとぶことはできませんでした。

「キウイは、とびっきりかわった ふしぎなとり!」そんなうわさが、いつのまにか森中にひろまります。かわったえものを食べてみたいと、フェレットとヤマネコとハヤブサが、木のかげからキウイをねらいます。ところが、キウイは3びきのにおいに気づき、はやあしでにげだします。フェレットがキウイのうしろからかぶりつこうとしたとたん、キウイのとげのような毛にささり、痛みでとびあがってにげていきました。おつぎのヤマネコにも、キウイは長いくちばしで枝をくわえてたちむかいます。ついにヤマネコは、あたまに大きなこぶをつくってにげていきました。それを見ていたハヤブサも、勝ち目はないと退散!このできごとは、あっというまに森じゅうにひろまりました。「キウイは、ワシみたいな とびっきりつよいとり!」

キウイは、ほかのとりとはちがいます。とりのはねも大きなつばさももっていません。毛はとげのようにちくちく。ながいくちばしに、まわりにはひげもはえています。でもね…そのおかげでたすかったんです!

書評

児童文学書評ブログ「Giraluna」より

目の前にいるのはなんだろう?えっ!鳥? でも空をとべないし、鳥の羽根もなければ大きな翼もない。毛はとげのようにちくちくしてるし、くちばしはながくて、まわりにはひげもついてる…。けれどそんなキウイこそ、このお話の主人公なのです。キウイはふつうの鳥とはちがう、すばらしいところをたくさん持っています。この絵本はちがいを認め乗りこえる大切さを伝える作品です。はかなく美しい生き物の主人公キウイは、目の前で起きるあらゆる危険をすりぬけていきます。キウイの絵本は、もちろん絵の美しさも魅力ですが、それだけでなくお話として始めから終わりまで楽しんで読みすすめることができるでしょう。

作者について

文:スサンナ・イセルン (Susanna Isern)

スペイン人作家。カタルーニャ地方のピレネー山脈の中心部にある小さな村ラ・セウ・ドゥルジェイ出身。心理学者で、3人の子の母。小さい頃からお話しづくりに情熱をそそいできた。2011年、絵本『ピウ ピウ』を出版後、現在まで13冊の絵本を執筆している。『毛糸のマジックボール (El Ovillo Mágico)』は、米国のMoonbeam Children´s Book Awards 2013で銀賞を受賞した。

絵:レベッカ・ルシアーニ (Rebeca Luciani)

1976年生まれ。アルゼンチン人イラストレーター。ラプラタ国立大学美術学部で絵画とデッサンを学びました。現在はスペインのバルセロナに在住し、イラストレーターとして主に活躍中。彼女の作品はアルゼンチンの他に、スペインやイタリアでも出版されています。また、子ども向けのイラスト講座やワークショップでも絵を教えています。これまで20冊以上の絵本の挿絵を手掛け、国際コンクールでも様々な賞を受賞しています。

キウイとは?(ウィキペディアより要約・抜粋)

キウイはニュージーランドに生息する飛べない鳥です。ニワトリぐらいの大きさで、翼は退化して飛べません。他の鳥類に比べたくましい脚を持ち、速く走ります。夜行性で視力が弱く、夕方になると餌を求めて歩きまわります。くちばしの尖端に鼻孔があり、またセンサーのようになっているヒゲを用いて、鋭敏な嗅覚によって餌を探します。キウイフルーツは、果実の外観がこの鳥のキウイに似ていることから命名されました。

作家の主な作品歴(未邦訳)

2010年『ピウ ピウ!(Pilu Pilu!)』 Editora QQQ

2012年『キウイ-とびっきりかわったふしぎなとり(Kiwi, un pájaro más bien raro)』La fragatina

2012年『ちょうちょとりのめいじんグマ(Oso Cazamariposas)』 Editora QQQ

2012年『ニコレッタ(NICOLETA)』

2012年『香港のニコレッタ(Nicoleta en Hong-Kong)』

2012年『くまさんだっこ(Un abrazo de oso)』

2013年『レイアのおどり(El baile de Leia)』

2013年『気球のたび(El viaje en globo)』

2013年『まほうの毛糸(El ovillo mágico)』

2013年『かたつむりさん、どこへいったの?(¿Dónde estás, Caracol?)』

2013年   『クマとキリンと石のかべ(Osito, la vieja jirafa y el muro de piedra)』

2014年   『キツネとりんごの木(La zorra y la camuesa)』

画家の作品歴(いずれも未邦訳、挿し絵担当)

2004年『コーヒーのおはなし(El cuento del cafecito)』Lúmen

2007年『ダニエラのえがお(La sonrisa de Daniela)』Kalandraka Editora

2008年『マルティンのくも(La nube de Martin)』Kalandraka Editora

2009年『もうひとつのうたとことば(Canciones y palabras de otro cantar) 』Luis Vives Editorial

2009年『カーニバル(Carnaval)』 La Galera, S.a. Editorial

2010年『フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)』Parramon

2011年『まくらのしたのとびら(Una puerta bajo la almohada)』 Luis Vives Editorial

おはなしのいちぶ

キウイは、おひさまがすきではありません。だから、ひるのあいだは、ほとんど ねむっています。
ところが、ともだちのねずみは キウイとちがって、いっときもじっとしていません。あっちにちょろちょろ、こっちにちょろちょろ。とってもしりたがりやで、もりのひみつならなんでもしっていました。

あるひ、ねずみはすこしおどろいたかおをして、キウイにたずねました。

「ねえ キウイ、もりのむこうできいたんだけど、きみはとりなんだってさ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キウイは、ほかのとりとはちがいます。

とりのはねも、おおきなつばさももっていません。

毛けはとげのようにちくちく。ながいくちばしに、まわりにはひげもはえています。

キウイは、とびっきりかわった ふしぎなとり!
でもね…そのおかげでたすかったんです!

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