ピカソとミヌー

タイトル:ピカソとミヌー(Picasso and Minou)

発行年:2005年

出版社:Charlesbridge Pub Inc

2010年、スペイン語版がフベントゥー社 (Editorial Juvenitud) から出版された。

■ あらすじ

ミヌーはねこです。だから芸術のことは よく わかりません。でも、すきなものときらいなものならしっています。ミヌ―のきらいなものは、パブロの描くかなしい青い絵でした。

パブロはまずしい生活をおくっていましたが、どんな食べ物もミヌーとわけあって食べました。パブロの絵は一枚も売れません。青くつめたい世界で暮らす、悲しい青い人たちしか描かないからです。でも、パブロはそのことに気づいていないのです。

ある日、パブロはミヌーを外に出して言いました。「ごめんよ、ミヌー。もう、食べ物はのこっていない。これからは、じぶんで食べ物をさがすんだ」 ミヌーは、しかたなく外の街をさまよいます。そして、いつのまにか入り込んだモンマルト地区で、サーカース団の子どもたちに出会います。ミヌーは子どもたちにもらったソーセージをくわえ、パブロのもとへもどりました。パブロがおどろいたのも無理はありません。パブロはソーセージをミヌーとわけあって食べると、ミヌーをやさしくなでて言いました。「おまえは、かけがえのない本当の友だちだ」

ある日、とうとうミヌーはパブロをつれて、サーカス団のいる場所へつれていきました。パブロはサーカスの芸人たちのやさしさに触れ、彼らを描くようになりました。その絵は今までの青い絵とちがったバラ色の絵でした。この絵はすぐに買い手がつき、しだいにパブロは有名になっていきます。こうして青の時代が終わり、バラ色の時代へと変化していったのです。

パブロはミヌーをつれてひろいアパートへ引っ越し、安定した生活を手に入れます。でも、すべてが上手くいっているように思えたころ、今度は「キュビズム」という新たな絵のスタイルへの挑戦がはじまろうとしていました。

■ 作者について

文:P.I.モルトビー (P.I. Maltbie)

アメリカのイリノイ州エバンストン市で芸術本に囲まれて育つ。偉大な芸術家たちの人生から情熱をかきたてられる。イギリス文学の修士を修了後、作家の道を歩みはじめる。人物の伝記や障害者関連の記事を多く執筆。『ピカソとミヌー』は初めての作品。現在はカルフォルニアのロング・ビーチに在住。

作品(いずれも未邦訳)

2005年『Picasso and Minou (Charlesbridge Pub Inc)』

2010年『Claude Monet: The Painter Who Stopped the Trains (Harry N. Abrams)』

2010年『Picasso y Minou (Editorial Juventud)』

2012年『Bambino and Mr. Twain(Charlesbridge Pub Inc)』

絵:ポー・エストラーダ (Pau Estrada)

スペインのバルセロナ生まれ。バルセロナ大学で文学を専攻。その後、フルブライト奨学金を得て、アメリカのロード・アイランド・スクール・オブ・デザインで美術を学ぶ。絵本の挿絵を担当する他、アメリカやスペインの出版社と様々な仕事を手掛けている。『ピカソとミヌー』は、NYイラストレーター協会の選定図書に選ばれた。彼はこの絵本を描くにあたり、バルセロナのピカソ美術館に何度も足を運んだ。また、フランス語を勉強し、パリの国立ピカソ美術館を訪ね、ピカソが暮らしたモンマルトの街を歩いてまわった。現在はバルセロナに在住。イラストを教える他、映像プロデューサーとしても活躍中。

邦訳作品

2010年 『変わり者 ピッポ(光村教育図書)』(イラスト担当)

他の作品(未邦訳)

1999年 『Little Red Riding Hood(Chronicle Books)』

2004年 『Princess and the Pea (Chronicle Books)』

2007年 『Pedro’s Burro (Harpercollins Childrens Books)』その他多数

■ 所感

絵本の最終ページは、青の時代のピカソの紹介とねこのミヌーと一緒にとった写真が掲載されています。この絵本のミヌーはピカソの作品にも度々登場する実在したねこで、ソーセージの逸話も本当にあった話だそうです。ピカソにとってかけがえのない存在であったミヌーとの絆の深さを知るとともに、ピカソの青の時代からバラ色の時代を経て、キュビズムへと入る移行期の紹介が、猫との逸話を交えたすてきな作品に仕上がっています。

■ おはなしの一部

ミヌーはねこです。だから、芸術のことは よく わかりません。でも、すきなものときらいなものならしっています。ミヌ―のきらいなものは、友だちのかくかなしい青い絵でした。

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「ほらな、ミヌー。世の中はこんなにもつらくきびしいんだ。ぼくがかなしい絵をかくのも、むりはないだろ?」パブロは、ミヌーにいいました。

ミヌーはパブロのはなしをきいているうちに、パブロがかなしんでいるのは、たいせつな友だちが死んでしまったからだと知りました。しかも、パブロはまだ青い絵をいちまいもうることができませんでした。だからパブロにとって、人生はいっそうかなしいものに思えたのです。

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