サルバドール・ダリ

仮題:サルバドール・ ダリ ― 夢をえがいてごらん―

(Salvador Dal:Píntame un Sueño)

発行年:2004

出版社:Serres Ediciones 

2004年、シュルレアリスムの巨匠サルバドール・ダリの生誕100年を記念して、モンセ・ジズベルトとバルセロナのセレス出版社(Ediciones Serres)は、ガラ=サルバドール・ダリ財団の協力の下、ダリの生涯と作品を紹介する絵本 『サルバドール ・ ダリ ― 夢をえがいてごらん―』を発表しました。

この絵本は、ダリが一人称で自らの人生や作品について語りながら、豊かなイマジネーションの世界への引き出しを私達に開け放ってくれるとともに、彼の情熱、奇才、愉快とも言える狂気と創造力で私たちを驚かせてくれます。それは故郷カダケスにはじまり、マドリッドのサン・フェルナンド美術学校で過ごした学生時代、マドリッドやパリそしてニューヨークの滞在中における芸術家たちとの交流、フィゲラスにあるダリ劇場美術館の開館に至るまで、有名なエピソードを交えながら、ダリ本人が話しかけてくれる楽しい絵本です。

また、この絵本には最愛の妻であるガラも登場します。ダリはガラとともにポルト・リガトで暮らし、世界中を旅しながら成功を収め、財を成したのです。

ページの終わりでは、フィゲラスにあるダリ劇場美術館へも案内してくれます。そこにある絵画、素描、シュルレアリスムのオブジェ、彫刻、宝飾品など約40作品を紹介しながら、彼の夢の世界へ導いてくれます。

この絵本は伝記として、また画集として、そして「かくし絵」的なあそびの要素も兼ねた作品に仕上がっています。子どもから大人まで世代を越えて楽しめる作品です。

2003年スペイン文化省主催 出版優良図書3位受賞

2005年ミュンヘン国際児童図書館のホワイトレイブンス選定

 

■ 作者について:(本書の作者紹介より抜粋)

文: モンセ・ジズベルト(Montse Gisbert(スペイン人)

1968年生まれ。フランスの城壁が水につかるほどあふれだした創造力はとどまることを知らず、ついにスペインのカタルーニャ州タラゴーナの小さな村サン・ジャウマ・デ・エンベージャまで行きついた。手には、いっぱいの色鉛筆をにぎって…。バレンシアとブリュッセルの異なる空の下で進むべき道が決まり、絵の素養を身につけた。いつもあふれんばかりのイマジネーションを発揮した色彩の絵を描く。仕事をこの上なく楽しみ、読者の目に笑みをもたらす。国内外で多くの賞を受賞。

作品歴 いずれも未邦訳
1999年:『なぞなぞ (Adivinanzas)』 共作・絵

2000年:『世界の新世紀(El siglo ma’s nuevo del mundo) 』絵
2002年:『月のねがい(El deseo de la luna)』作・絵

2004年:『ぞうのパタムたのしいアルファベット(El abecedario fanta’stico de Patam, el elefante)』 作・絵
2008年:『せかいいちかわいいあかちゃん(El bebe m a’s dulce del mundo) 』作・絵
2009年:『日々感動する小さな(大きな)できごと (Las pequenas (y las grandes) emociones de la vida)』作・絵
2009年:『子どものなぞなぞあそび10(10 adivinanzas infantiles a partir de Adivinanzas)』共作・絵
2011年:『ねこのすべて(El almanagato)』共作・絵

■ 書評

バルセロナの児童文学雑誌 CLIJ(Cuadernos de Literatura Infantil y juvenil)

 

20042月号第168号に掲載

今から約100年前、20世紀の天才でシュルレアリスムの巨匠と言われたサルバドール・ダリは、スペインのジローナ県のフィゲラスで誕生した。ダリの奇抜な言行は、数々のスキャンダルを巻き起こし世間を驚かせた。そして2004年、ダリの生誕百周年を記念したイベントが至るところで開催され、その波は絵本の世界にまで及んだのである。

バルセロナのセレス出版社とモンセ・ジズベルトの企画により実現したこの絵本は、ダリ本人が天才画家としての生涯を私たちに語ってくれる作品となっている。ダリが屈託のないしゃべり口調で自分の生涯を語るのだが、自らの芸術観を読者に知ってもらおうと心がけていることが文章から伝わってくる。

今回はジズベルトも大胆な試みともいえるスタイルで、ダリという人物を再現した。コラージュを使い、特徴を上手くとらえた細身のダリが絵の中に登場する。そして、ダリ本人が芸術家としての人生を語るのである。

この絵本は、天才画家ダリをユーモアたっぷりに描いた注目すべき作品だ。それは彼の絵画やオブジェにとどまらず、家族や友人の写真が力作ともいえるすばらしいコラージュの中でジズベルトの描くイラストと交じり合い紹介されている。自分の夢を絵や彫刻にした芸術家ダリについて、楽しく詳細に描かれた作品である。                (対象:7~77歳の子どもたち)

 

■ おはなしのいちぶ

みなさん、おはよう!

わたしの名前はサルバドール・ダリ。夢をえがくえかきだ。
さあ、イマジネーションのとびらをあけて、わたしについてきたまえ…。
まほうのつえで、みなさんを ごあんないよう。すばらしい絵ふでで、きみたちを あっと おどろかせよう。ようこそ!いろとかたちのすばらしい世界へ!

・・・・・・

わたしがうまれたのは今から1世紀もまえ、フィゲラスという町だ。
夏やすみになると、カダケスの村にある別荘で家族とすごした。そこで、14さいのときにかいた絵がこれだ。さあ、よくみてくれたまえ。絵をかいているわたしが見つけられるかな?
わたしのふるさと、愛する土地アンプルダンには、なんとたくさんの思い出があることか…!
村のふうけい、地中海の青、おさないころの思い出は、けっしてきえないだろう。

この土地は、わたしの絵にもくりかえしあらわれている。

・・・

食事は、わたしのものづくりの力をかりたてるものでもあった。
いちばんすきなのは、目玉やきをのせたパン。
うむ…それであまりにパンがすきだったから、

あるとき、パンやさんで18メートルのパンをちゅうもんしたこともあったよ!
パンはちょうこく作品にはもってこいのすばらしいものだった。

パンをつかって、信じられんほどたくさんのものをつくった。

気がむくと、パンのぼうしをかぶった!

・・・・・・

どれどれ…なんだって?まだ、わたしが見つけられんのか?
目をよくひらいて、上をみてごらん。
これはガラとわたしの足だ。

いろのついた くもの中をういている…。ここからは、すべてがおみとおしさ。
わたしの体にはいくつも引きだしがあって、思い出がたくさんつまっているのだ。

・・・・・・

よろしかったら、わたしに会いにきてくれたまえ。
きみたちに夢をえがいてあげよう。